蹴馬鹿の窓 NO.16


もうすぐ その男はやってくる。 2004.10.23 kazua510

2004年 10月末 埼玉県某所

男S 「じゃ そろそろ帰るか…」

同僚 「ええっ まだいいじゃないスか もう1杯 ね 1杯だけ」

男S 「う〜ん… 明日も早いんだよな… まぁ 1杯だけな」

同僚 「それにしてもSさん 最近 随分仕事してますよねぇ 何かあるんスか?」

男S 「まぁ ちょっと… 11月の頭にな…」

同僚 「へぇ 何か意味あり気ですねぇ 気になるなぁ」

男S 「別に大したことじゃないさ 仕事でもないし」

同僚 「う〜ん なおさら気になるなぁ 教えてくださいよ 何 あるんスか?」

男S 「…………」 少し笑いながらグラスを空ける

同僚 「あー 気になるなぁ ね 教えてくださいよっ あっ 女とかっ」

男S 笑う

同僚 「あー それはマズい それはマズいっスよ Sさんっ」

男S 「バカ 違うよ ぜんぜん   …サッカー  」

同僚 「えっ? …?」

男S 「 だ か ら  サ ッ カ ー 」

同僚 「? あれ? Sさんって レッズ応援してましたっけ?」

男S 「 ……… 」

同僚 「 あっ 分かった さては ニワカ でしょ 何か優勝候補らしいし」

男S 「 ……いや 優勝なんて 夢の夢 …かな 」

同僚 「 ? あれ?そうでしたっけ? 俺 あんまりサッカー詳しくないけど
    友達が言ってましたよ 今年のレッズは凄いって 何て言いましたっけ外人
    ん〜 エメ… エメなんとかが もう 半端じゃないって」

男S 「 … エメルソンか… 前はいたけどなぁ… 」

同僚 「 えっ? 辞めちゃったんですか? そのエメルソンって?
    でも まだ代表選手とかいっぱいいるんでしょ この前のオリンピックとかの」

男S 「 …オリンピック代表か… それも 前は いたんだけどなぁ…」

同僚 「?聞いてた話しと違うなぁ でも 強いんでしょ 今 首位だとか」

男S 「…いや 今 最下位だ 」

同僚 「???… ふ〜ん ま いいか でも何でサッカー見るだけなのに 
仕事 つめてやってるんスか?」

男S 「札幌 行くんだ」

同僚 「?へ? 札幌でレッズの試合なんてやりましたっけ?」

男S 「 … なぁ いっこ 誤解が あるようなんだけど… 」

同僚 「??? なんスか?」

男S 「 俺 北海道出身なのは知ってるよな」

同僚 「ええ 北海道の真ん中らへんスよね 熊とか友達みたいなもんだって」

男S 「そうそう そこら中 熊がさ… いや それで 何だっけ?
    そう サッカー サッカーチームあるの知ってるか?」

同僚 「あ ああ 聞いたことあります 名前 なんてったけ? 
前はJリーグだったチームですよね」

男S 「あ おまえ… 今もJリーグだよ J2って 下のリーグだけどな…」

同僚 「へぇ… えっ! まさか そのJ2の最下位のチーム 応援してる とか?」


男S 「…ああ その まさかだよ 俺は コンサドーレ札幌のサポーターだ」


同僚 「えええっ 埼玉なのに? レッズじゃなくて? 最下位の? えええっ!」

男S 「悪かったな 俺は モノズキな奴だからな」

同僚 「そりゃ ほんと モノズキっスね… 郷土愛 とか?」

男S 「郷土愛か… それもある」

同僚 「それもあるって 他にも何か応援する理由とかあるんスか?」


男S 「 …仲間も …いる し な 」


同僚 「へぇ… 何かよく分かんないけど 良いっスね そういうの」

男S 「 …まぁな 」

同僚 「 じゃ その コンサドーレの勝利を願って乾杯ということで もう1杯っ!」

男S 「だから もう帰るって…  まっ いいか… 」


店を出ると 木枯らしが吹いていた。冬が足早に近づいている。
"札幌にはもう初雪が舞ったのだろうか…"
遠く北の空を眺めながら そう思った。

もうすぐ その男はやってくる。

*この物語はフィクションです 全て架空の会話です ご了承下さい。



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