再生への道しるべ


超常連のすがさんが、HFCの再生に向けて
少し真面目に語っていただきます。今回は蛇乃目亭ルンバさんからの
質問に答えていただきました。

最初にルンバさんからの質問(掲示板より)

さて、少々古くなりますが、5/29付『道新』朝刊一面の記事です。
  「道企業再生ファンド適用 第1号 FMノースウエーブに」
そして 6/19付『道新』夕刊一面には
  「FMノースウエーブ ハドソンが支援へ」

昨年12月にHFCより出された『強化計画』の、冒頭のフローチャートに書かれていた
  「市民的合意形成〜公的支援の必要性を確認〜スポーツ振興ファンドの設立」
という、理解に苦しむ 他力本願的イメージ満杯の部分。
上のニュースを見て、「ああ、こういうことか」と思いました。
HFCが 「北海道企業再生ファンド」を活用するのか、それとも新しく「スポーツ振興ファンド」を
作り出して それを活用するのか。いずれにせよ、公共性があって・政治力(コネ)があって・単
年度での安定した経営状態が必要 という事になるのでしょうか。

この辺の話は すがさんの分野と思われますので、ちょっと解説をお願いしたいのです。
それにしてもハドソン。こっちも支援してくれえええ!

NO.1 まずは解説

1.再生ファンドとは

  HFCがいう「スポーツ振興ファンド」と「再生ファンド」は意味合いがずいぶん違っています。
ネットで調べてみたところ、「北海道企業再生ファンド」というのは、道庁が主導で北海道
マザーランドキャピタルという会社を立ち上げ、企業再生を支援するというもののようです。

  「再生させる」というと、一般的には経営者に経営責任をとらせ、かつ株主にも出資責任を
とらせることが前提であり、過剰債務企業に対し、債務免除を行って収益の出る企業体質
に改善させることです。

 FMノースウエーブの場合はわかりませんが、債務が過剰で債権者が多数いる場合は、まず
企業再生が進まないのが一般的です。そこで、一旦経営破綻させて、再生ファンドが再生
を行うという形です。リップルウッドなどの外資の再生ファンドは再生させて、売却して稼ぐと
いうことになります。

2.HFCのケース

1)HFCの現状

  HFCの財務を見ると、まず、借入金については札幌市の1者だけの10億円で、ほぼ返済
予定のない借入(期限継続扱いということ)ですので、再生の障害になるということは考え
にくいと思われます。また、40億の累積損失といっても、株主資本が25億程度あり、また
札幌市からの借入金10億も実質的には、自己資本とみなしていいようなものですので、
5億程度の財務改善を図る必要があるということになります。

(ここの議論については、意見があるところでしょうが、サポーター持ち株会が一生懸命に
増資に応じたりしていることの結果であり、石屋製菓はじめサポーター一同他の株主が減資
に同意すると累積赤字の大部分が消えるわけです。)

 ただ、減資の問題については、経営責任の問題が出てきますので、石水氏が役員から退任
することにつながり、石屋製菓のスポンサー撤退ということになり得るので現実的ではあり
ません。

2)再建の方向性について

 仮に、クラブを「再生ファンド」により再生させるとすると、破綻させた上で、チェルシー方式に
より、有名選手をを高給で獲得し、即効的に勝てるチームを作り、クラブの価値を引き上げた
ところで売却するという方向性になるでしょう。商業ベースのクラブ経営ならば、そういう方向も
あるかもしれませんが、地域クラブとして自立していくというJリーグの理念からすると、なじま
ないと言えます。また、HFCにおいては、債権者が多数いるわけではなく、過剰債務というほ
どの借入金残高でもなく、ここでいう「再生」の対象にはならないでしょう。

 北海道および札幌市の財政支援を受け、これまでの「コンサドーレ札幌」の歴史をまがりな
りにも築いてきたわけで、その延長上に地域密着の自立したクラブ経営を目指すというのが
5段階計画の根本です。

3.今後の見通しと課題について

1)財務上の課題

 まずは、単年度黒字を定着させること、そして中期的には札幌市および北海道の補助金なし
に黒字化することが必要です。HFC予算の「北海道サッカー協会コンサドーレ基金」は、北海
道からの実質補助金だそうですので、もうすでに「スポーツ振興ファンド」は実行されている
ものなのです。こうした、補助金なしに運営できれば真に自立したと言えるでしょう。

 ただ、自治体が広告のスポンサーとして支出できないので、石屋製菓の広告料と同程度の
補助金を出すという考え方もできなくもないのですが、税金の問題になりますのでここでは
補助金は継続する考え方も有りということにしておきます。

 今年度の見通しについては6月22日に石水氏が「今年は2億円の黒字になるかもしれない」
と発言されたようで、予定通りということです。更に「そうすると来期の補強が可能になる」と
の発言が続いたようです。私がその少し前に「大幅黒字になりそうだから、選手の年棒を
上げてほしい」と発言したのと多少方向性は違いますが、入場料収入の増加分を人件費に充
当するという考え方は一緒のようです。

 これまで、「客が来るか来ないかはかまわず、高額年棒の選手をつれてきた」やり方から、
「客がこれだけ来てもらえるから、それに応じた選手人件費を支出する」という考え方に変わ
ったとしたら、これは健全経営の第一歩だといえます。

2)クラブ運営上の課題

 5段階計画の通り育成型のクラブを目指すことです。地域拠点でのサッカースクール運営
など、底辺拡大の地についた着実な活動が必要です。そのためには、北海道サッカー協会
との更なる連携も必要ですし、指導者育成にも踏み込んでいくことも必要でしょう。財務が
安定した将来は、ベルデイやアルビのように他のスポーツのクラブの運営まで拡大していく
ことが理想です。

 今年の成績はまさに「生みの苦しみ」ですが、ここで、今の選手にがんばってもらって、少し
でもいい成績を積み重ねてくれることが、未来のHFCのキーポイントになります。
 北海道サッカーのレベルの底上げと同時にHFCの経営の鍵を握るというのは、選手たちに
は荷が重くて気の毒な気もしますが、とにかくがんばってもらうしかありません。

      15年決算16年予算16年修正

入場料収入481,240 310,000 420,000       観客動員当初見込み
広告料収入416,120 420,000 420,000       15万人
その他   675,138 467,000 467,000       修正は35%増
収入計  1,572,498 1,197,000 1,307,000     20万人(一試合9千人)

トップ人件費 740,216 330,000 330,000
トップ管理費 281,750 205,000 205,000
その他    859,286 771,000  771,000
支出計  1,881,252 1,306,000 1,306,000

営業利益 -308,754  -109,000  1,000

札幌市補助 106,900 107,000 107,000
道協会補助 145,086 100,000 100,000

ここでルンバさんから再質問がありました 2004.6.29

すがさんへ


疑問に思った事を アット・ランダムに書かせてもらいます。
ご返答は 特別急ぎもしませんし、全てにレスポンスいただけなくても構いません。
時間があって 気が向いた時にでも、一部の項目に関してのみでも、お願いできればと思いま
す。

@当初の疑問の本質からは外れるのですが、「札幌市からの借入金10億円」が
実質的には返済不要という事になると、札幌市から見た場合 その10億円は
どういう扱いになるのでしょうか?「貸している」のではなく「寄付した」という事でしょうか?
帳簿上では 年度毎に繰り越して消えずに残っているのでしょうか?
「市民的合意」が形成されていない場合、その10億円の支出の合理的理由が希薄になり、
場合によっては 体制派 vs 反体制派 の戦い等で政治利用される ・・・なんてことも想像しちゃ
うもんですから。
もっとも、今の道知事や札幌市長が 色んな意味でコンサを利用していないとは言いません。
でもそれは お互いに利用し合えればイイわけで、ただそのバランスが崩れたり、
第三者が出て来て こじれて、結果としてコンサが振り回される という事態だけは避けたいです
よね。



A まずは、単年度黒字を定着させること、そして中期的には札幌市および北海道の補助金
なし
に黒字化することが必要です。HFC予算の「北海道サッカー協会コンサドーレ基金」は、北海
道からの実質補助金だそうですので、もうすでに「スポーツ振興ファンド」は実行されている
ものなのです。こうした、補助金なしに運営できれば真に自立したと言えるでしょう。

実質的に実行されているのならば、やはりその前提である「スポーツ振興に対する市民的合
意」が
得られているかどうかが重要ですね。

それでも出てくる疑問は、実行されているのならば、何故改めて『強化計画』に
「スポーツ振興ファンドの設立」と書いたのか ということです。
今の補助金が 「企業再生の為の補助」とすると、いずれ「積極経営の為」の財源を確保しよう
ということなのでしょうか。
補助金の出所が 道or市であれば その使い道は限定されるでしょうし。
やはり 同じく『強化計画』の中にある 「負の遺産の一掃」「新資本の増強」という言葉が気にな
ります。
感情的に飛躍し過ぎでしょうか?( ^^ゞ


・・・「市民的合意」を形成する為に 我々サポーターができることは何なのか。
あるいは最低限 “やってはいけない事”は何なのか。
それを問う場・語り合う場があっていいと思いますね。
クラブは その手助けをすると同時に、「税金を使わせてもらってるんだから、こういう社会還元
をします」 という
解かりやすい行動を示す必要もあるのではないでしょうか。
サッカーやコンサに興味の無い人達にも理解を得られるような。



Bこれまで、「客が来るか来ないかはかまわず、高額年棒の選手をつれてきた」やり方から、
「客がこれだけ来てもらえるから、それに応じた選手人件費を支出する」という考え方に変わ
ったとしたら、これは健全経営の第一歩だといえます。

商売としては「価値のある商品(選手)を連れて来て、○○万人の客を呼ぶ仕掛けをしよう」
というのもアリなのでしょうが、今はそんな博打を打てる状況じゃあありませんね。
神戸とは違って。ましてや税金使ってる訳ですからねえ。
ステップ4の“積極経営”を待つということでしょうか。

C今野を売った2億円はどこに計上されるのでしょうか?
まさか 今年の利益の2億円って...。

と、まあ、とりもなくスミマセン。
本当に、すがさんの回答には驚かされて、心から感謝しています。
ありがとうございます。

                                             蛇乃目亭ルンバ
そして
NO.2 ルンバさんへの回答 2004.7.4

1.今野の移籍金

 当然のことながら、2004年の売上収入に計上されていますね。
移籍金が2億円だったのかどうかはわかりませんが、今野の移籍金がなければ、その分は
損益が悪化していたわけです。
 ただ、HFCの代弁をするわけではありませんが、今野の移籍金があったからこそ、入場料
収入の大幅減を覚悟した、若手若返りイコール人件費カットの予算が可能だったとも言える
かもしれませんね。
 育成型クラブを目指すとすれば、これからも金持ちのクラブへ選手を放出して、また若手
選手の育成資金にしていくという選択もありえると思います。(桑原とか上里とか?)
 そういう評価がされてくるなら、有望な高校サッカー出身選手が自らコンサドーレへの
入団を選択してくれるかもしれません。

2.市民的合意形成の問題 〜 鳥栖問題と関連して

1) 札幌市から、すでに補助金が毎年出ているわけですから、現段階でも最低限の「市民的
合意」は形成されていると見ていいでしょう。市民的合意がないとすれば「オンブズマン」が
補助金に反対してくると思われます。(札幌に住んでいるわけではないので実態はわかり
ませんが)1億円という大きな金額ですが、180万人の政令指定都市の財政規模のおかげ
で補助金が得られているわけです。

2) 札幌のケースと比較すると、サガン鳥栖の場合、ホームタウンがわずか6万人の鳥栖市
であり、大きな企業(税金を落としてくれる)があるわけでもなく、3000万の補助金といえど
も財政規模からして相当の負担になります。鳥栖市議会の議事録を見ると、かなり切実に
サガン鳥栖問題が討論されています。鳥栖スタジアムの使用料を2年間免除については議
論のすえ議会で否決になり、1年間の免除にて今年もスタートしているようです。
 鳥栖市はユニフォームスポンサーとして600万円も支出しているとのことです。自治体で
も広告料支出は予算に組めるようです。市民的合意がなければ、鳥栖はもっと前に破綻し
たでしょうし、今の存続問題も今後のチーム維持が市民的合意があるかどうかで揺れて
いるのかもしれません。鳥栖がJのチームを維持していくのに小さすぎるという議論もある
のですが、佐賀県全体および久留米地域のバックアップで存続をしてほしいと願います。
鳥栖はすばらしいスタジアムだそうですので、2万5千人入った試合を見てみたいですね。

3) 札幌市からの借入については、毎年きちんと金利が支払われていますので、正常な貸付
だといえます。(金融庁の基準からするとHFCの場合、破綻懸念先と分類されてしまうので
正常ではなくなってしまうのですが=道銀も北洋も絶対に資金は出しません)
 「今は返済できないだけ」ということでよろしいのではないのでしょうか?
将来、欧州のビッククラブへ移籍金10億で放出できる選手がでてくると借入れはいっぺん
に返済できます。(まあ、そんなことは夢でしかないかもしれませんが)

3.これからの市民的合意について

強化計画のなかで、市民的合意形成の問題を言っているのは、推測するに、「これから
HFCが方針転換するにあたって、あらためて市民的合意を強調する必要があった」のだ
思います。今まさに14連敗中で、方針転換のときに予想しえた結果であり、だからこそ
「サポーターのみなさま、札幌市のみなさま、ひいては北海道のみなさま、最下位になっ
ちゃうかもしれないけど、公的補助金も受けて必ず復活するから、我慢してみててね」
といいたかったのではないでしょうか?(ちょっと深読みしすぎかもしれないが・・)

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